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北岳 3193m    アップ:2021.
「屹と天を突くような鋭い頭角をあげ、颯爽として軽薄ではなく、ピラミッドでありながら俗っぽくない。惚れ惚れするくらい高等な美しさである。
富士山の大通俗に対して、こちらは哲人的である。」
 *深田久弥の『日本百名山』からの引用。

△ モノクロ時代の北岳です。池山吊尾根のボーコン沢の頭付近から望んだ岳は、たっぷりと雪を抱いて、堂々とした山容。まさに圧巻でした。
 その3時間後、仲間3名で、北岳の頂上に立っています。
 持参したカメラがハーフ (72枚撮り) だったので、横1枚では入りきれず、縦にして2枚で撮影して接合。1969年大晦日。

△ 仙水峠からアサヨ峰へ登る途中、北岳が高く、角度を狭めた姿で迎えてくれました。池山吊尾根から見た山容とは、全く異なります。
 北岳の右が間ノ岳3189m。その右で少し尖っているのが三峰岳2999m。右端が塩見岳3052m。9月。

△ 北岳のバットレス。ロック・クライマーにとっては、憧れの岩場。手前のボケた花はイブキトラノオ。8月。

△ 鳳凰山の地蔵岳付近から望んだ白根三山。右が北岳3193m、中央が間ノ岳3189m、左が農鳥岳3051m。
 ○○三山は各地にあるが、3000m峰の三山はここだけです。8月。

△ 北岳山頂です。登山者が多い。 
 右は山頂近くで出合ったイワヒバリ。人をあまり恐れません。2mほどの至近距離で撮影。地面が保護色になっています。8月。

△ 北岳山荘と、北岳肩ノ小屋。
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【北岳の花】8月上旬~9月上旬。 
*北岳は高山植物の宝庫。以下の写真は20~30年前のもの。ボケていて、花の名前が区別しづらい。

△ シラネヒゴタイ。頭花は茎の先に1個しかないので、他のヒゴタイと区別しています。黄色い花はシナノキンバイか。

△ 左の白花はコバノコゴメグサ、中央上の白花はシラネニンジン、赤花はタカネシオガマ。紫花はキタダケトリカブト。黄花は?

△左からミネウスユキソウ、真ん中はコバノコゴメグサ、右端はタカネナデシコ。

△ キタダケトリカブト。 右は?
  
△ 左はタカネグンナイフウロ。赤花はクルマユリ。 右はハイマツの花。

△ 大樺沢で撮ったヤナギラン。8月。
 右は早川尾根からの北岳で、端正な山容。大樺沢上部に、南アルプス唯一の万年雪があります。9月。 
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【北岳登山】
北岳は、私の好きな山の1つです。夏、初秋、冬と、合わせて5回登っています。
一番の印象は24歳の夏、三伏峠から塩見岳~三峰岳と縦走してきて、間ノ岳を経て中白根から見上げた北岳。
我が国第二の高峰は、端正な三角錐にして、とても高くて、見惚れていました。
そして翌朝、頂上に初めて立った時も感激でした。
当時、高校生だった日下哉君*と、テント1泊、山小屋2泊の縦走でした。

次の思い出は、その冬に山仲間3名で、池山吊尾根から北岳へ登り、間ノ岳~農鳥岳~奈良田温泉へと縦走した時。
そのスナップ写真が、最初のモノクロ写真です。
その時は、山中4泊のテント暮らし。25キロの重荷も、氷点下15~20度の寒さも、南アルプスの3000m峰を縦走するという気概と若さ故か、辛いとは思いませんでした。

北岳は花の山です。6~8月の登山は、必ずや花見が満喫できるでしょう。
キタダケソウ、キタダケキンポウゲ、キタダケトリカブト・・と、キタダケの名前が付いた植物が9つもあります。

* 日下哉氏・・現在、北海道に在住し、道内の山に精通。昭文社の『山と高原地図 ニセコ・羊蹄山』の著者、元東京農業大学教授。
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【山岳地図読みの資料】
富士山は、どこから見ても、頂上付近は同じに見えます。等高線が、まん丸だからです。
ところが北岳は、東西南北、見る方向によって、山の形が異なります。山頂が南北に長くて、等高線が混み合っています。
ということは、南北から見ると急峻に見えます。
そして東西に幅広の山頂です。ということは、東西から見ると、ドーム型に見えます。
下記は、その説明用の図です。

①は南側の間ノ岳から見た写真。 ②は東側の池山吊尾根から見た写真。 ③は北側の早川尾根から見た写真。 
④は南側の農鳥岳から見た私のスケッチ。手前が間ノ岳で幅広の山容です。その奥の北岳は尖っています。